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🌍 1-3 生成AIの市場

押さえておきたいポイント
  • 生成AIは、情報収集・整理、文章作成、アイデア創出など様々な業務で活用され、業務効率の向上、意思決定の迅速化、創造性の向上などに効果を発揮している。
  • 生成AIの導入方法は、事前学習、ファインチューニング、SaaSを利用するという3つの選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の規模、リソース、ニーズに合った導入方法を選択することが重要。
  • 多くの企業、特にリソースが限られている中小企業では、コスト面や導入の手軽さから、SaaSの利用が主流となっている。一方で、一部の大企業では、自社独自のLLM開発に投資し、競争優位性を築こうとする動きもある。
  • 生成AI活用には、セキュリティリスク、倫理的課題、法規制遵守など、様々なリスクが伴うため、社内ルールの整備は必要。
覚えておきたい単語
  • API (Application Programming Interface)
  • ハルシネーション (Hallucination)

企業での生成AI活用国内活用状況

生成AIの活用状況について、帝国データバンクの調査(2024年9月)*1 によると、従業員5人未満の企業では17.6%、5〜10人未満では18.0%、10〜50人未満は14.3%、50〜100人未満は13.9%、100〜1000人未満は18.2%、1000人以上の大企業では36.9%が生成AIを活用しています。

国内活用状況従業員別帝国データバンク

📊 生成AIの活用状況

国内企業全体では 17.3% の企業が生成AIを活用している という結果でしたが、生成AIを活用できている法人の割合は依然として少ない といえます。

⚠️ 注意: 生成AIの導入率は増加傾向にあるものの、特に中小企業ではリソースの不足やコストの問題により普及が進んでいないと指摘されています。

国内活用状況従業員別帝国データバンク

一方、生成AIを活用している企業の約9割がその効果を実感しているとの調査結果もあり、まずは試してみることで意外と順応しやすい可能性があるかもしれません。

生成AI活用企業満足度

とはいえ、「生成AIで何ができるのか?」という具体的なイメージがないと、なかなか使い始めるのも難しいので実際に生成AIはどんな業務に使えるのかみてみましょう。

補足: 活用イメージは第二章で、実際の画面を操作しながら動画でお見せする予定です。

企業での生成AI活用事例と効果

生成AIは様々な業務で活用され、具体的な効果も確認されています。帝国データバンクの調査から、活用事例を見てみましょう。

  • 🔍 社内における情報検索・整理 (59.9%): 膨大な社内データから必要な情報を効率的に探し出す、情報を整理・分類するといった業務において活用されています。
  • ✍️ 文章の要約・校正 (53.9%): 報告書、議事録、メールなどの作成支援に活用され、時間短縮と質の向上に貢献しています。
  • 💡 企画立案時のアイデア出し (53.8%): 新製品・サービス開発、マーケティング戦略立案などを支援し、創造性とイノベーションを促進します。
  • 📝 コピーライティング・文章作成 (39.7%): 広告コピー、ウェブサイトコンテンツ、広報資料作成などで活用され、質の高いコンテンツ制作を支援しています。

💼 その他: プログラミング、翻訳、データ分析、画像・映像生成など、多様な業務で活用されています。


💼 業務に生成AIを導入する時の選択肢

生成AIを導入する方法は、主に次の3つです。

  • 🏗️ 自社でLLMを開発する (事前学習): 自社独自のデータで学習させることで、業務に特化した高精度なモデルを構築できます。しかし、高度な技術力と専門知識が必要で、大量のデータやコストがかかるため継続的な投資が必要です。

  • 🔧 自社でファインチューニングする: Meta社の提供するオープンソースのLlamaモデルにファインチューニングを行い、特定のタスクに最適化します。リソースは開発に比べ少なくて済みますが、エンジニアリングの技術が不可欠です。

  • 🌐 SaaSを導入する (RAG機能ありを推奨): ChatGPTなどのLLMをAPI経由で利用できるサービスです。LLMの開発やファインチューニングは不要で、常に最新のモデルが使えるため、中小企業にも向いています。RAG機能を備えたサービスであれば、より業務に適した運用が可能です。

💡 : マッキンゼーのレポート「生成AI についてCEOが知っておくべきこと(2023年6月)」*2によると、LLMをゼロから開発するにはSaaS導入の10倍〜20倍のコストがかかると言われています。このことから特にAI開発の経験がない中小企業では、既存のLLMの活用が主流となっています。


生成AIを活用するにあたってのリスク

生成AIは大きな可能性を秘めていますが、リスクも存在します。リスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。

  • 🔐 セキュリティリスク: データ漏洩、不正アクセスなど。強固なセキュリティ対策とアクセス管理が必須です。
  • ⚖️ 倫理的課題: バイアス、差別、プライバシー侵害など。AI倫理のガイドラインに従い、継続的なモニタリングが必要です。
  • 📜 法規制: 著作権や個人情報保護法への準拠が必須です。常に最新の法規制を把握し、適切に対応しましょう。
  • 🎭 その他のリスク: 情報精度、ハルシネーション (幻覚)、モデルの悪用。出力結果のファクトチェック、継続的なリスク管理が重要です。

生成AIは、正しく活用することで大きなメリットをもたらしますが、リスク管理を怠ると企業にとって大きな損失となる可能性があります。

*1出典:帝国データバンク "生成AIの活用に関する日本企業の最新トレンド分析" https://pages.tdb.co.jp/rs/060-VTA-057/images/wp_generationai.pdf (参照:2024-10-31)

*2出典: McKinsey & Company "生成AI についてCEOが知っておくべきこと" https://www.mckinsey.com/jp/~/media/mckinsey/locations/asia/japan/our%20insights/20230703_what-every-ceo-should-know_vs.pdf (参照:2024-10-31)